世の中のことについて考えた

83年生まれ、女性。元新聞記者、精神保健福祉士、その他。そんな私の硬と軟。

子どもの本音を聞く

三重県で、子どもへの「アドボケイト制度」の導入を検討しているという。

三重県、アドボケイトを試験導入 児童虐待防止へ期待
中日新聞 2019年6月10日(月)

子育て政策について話す三重県鈴木英敬知事。育児休暇を取った経験があることで知られる
 今国会で成立する見通しの児童福祉法改正案は、親の体罰禁止を定めるだけでなく、子どもの側に立って本音を聞く仕組みについて、2022年春をめどに「必要な措置を講じる」ことが付則に盛り込まれている。「アドボケイト(代弁者)制度」や「アドボカシー」と呼ばれ、虐待を防ぐ手だてとして期待が寄せられる。三重県はアドボケイトを試験的に導入した。
 アドボケイト制度は、子どもの権利条約にある「意見表明権」を保障し、その後の対応に反映する目的。昨年3月に東京都目黒区で5歳女児、今年1月に千葉県野田市の小4女児が虐待で亡くなった事件では、児童相談所など周りの大人たちがSOSをくみ取れず、アドボケイト制度導入を求める声が高まった。各地のNPO法人が連携し、全国協議会を立ち上げる動きもある。
 公的な制度がある英国やカナダでは、児相などから独立した第三者がアドボケイトを務める。三重県では18年度、試験的に児相など県職員を対象に研修を始めた。のべ44人が受講。子どもを預かる施設「一時保護所」で、職員の中にアドボケイト役の担当者を決めて、子どもの意見を聞く取り組みを行った。
 その結果、担当者以外の職員も含め、これまで以上に子どもの気持ちを意識して対応するようになったという。
 県児童相談センターの川北博道・児童相談強化支援室長は「必ずしも子どもの意見通りの結果にならないこともあるが、寄り添って説明することが子どもの納得につながるのだと思う」と語る。「児相の職員だけではなく、学校の先生や友達、家族や親戚らもアドボケイトの担い手になり得る。皆さんにもっとアドボケイトを知ってもらいたい」と広がりを期待する。
 17年にカナダの関係施設を視察した鈴木英敬知事は「日本は(先進国の中で)子どもの人権保護が遅れている。子どもたちのために早期に制度を確立したい」と語る。将来的には「医療機関など、あらゆる現場に配置していきたい」と意欲を示している。(安藤美由紀、小林由比)
 <アドボケイト>「代弁者」や「擁護者」などと訳される英語。さまざまな理由によって自身の意思を表明するのが難しい高齢者、障害者、子どもらが自身の思いを示せるよう支援し、その権利を代わりに主張する。具体的には、行政機関が法的措置や福祉サービスについて決定しようとする際、代弁者は当事者の立場に立って、その意向を示す役割を担う。子どものアドボケイトに関しては、英国やカナダで公的な制度が既に導入されている。

 

本音を聞くプロフェッショナル、とでも言えるかもしれない。それだけ、本音を聞くのは難しい。精神疾患のある人もそう。自分自身で、本音が何なのか、考えることから始めなくてはいけない。相談援助職の一番重要な仕事も、本音を聞くこと、と言えるのかも。

子育てをしていても、子どもが「なんでお母さん~~してくれへんの!」「話聞いて!」「こっち来て!」などと泣きわめき始めるとき、なるべく「どうしたいの?」と聞くようにしている。子どものため、というより、自分自身が、子どもの表面的な泣きわめきに苛立って対応を放棄してしまわないために、「結局どうしたいということなのか」という本質を思い出すために聞く。思いがけず、「もっと遊びたい」「あのおもちゃを持ってきたい」などと具体的で対応可能なことが、「やりたいこと」だったりするので、問いかけとしては意味のあるものかなと思っている。

大人も、子どもも、みな賢いから、「児童相談所の人に言ってもどうせ無理」などと思って本音を話さない子はたくさんいるだろうから、第三者であることを示すことができるアドボケイターという仕組みはよいと思う。