世の中のことについて考えた

83年生まれ、女性。元新聞記者、精神保健福祉士、その他。そんな私の硬と軟。

カネカ転勤騒動の本質は育休ハラスメントではない

夫の育休明け直後に転勤を告げられ、辞令の延期を求めるも受け入れられず、退職に至った、という話が盛り上がって、

「夫が育休明けに転勤命令⇒退職」 告発ツイートでカネカに批判殺到 | ハフポスト

 

 夫の転勤によって育休中に退職をさせられたことのある私は大いに「やれやれ」と思っている。ただ、「育休明け」に転勤させられたことが問題の本質ではないと思う。転勤は、その人の家族について十分かつ計画的な配慮がなければ、いつだって家族の大きな犠牲を伴うものであり、それが育休明けだろうが通常勤務中だろうが同じなのである。例えば夫が育休を取らず、妻が育休中で、そのときに夫が転勤を言い渡されたとしたら?どちらも通常勤務をしていて、転居先から前の職場に通えないとしたら?どの場合でも、夫婦のどちらかが退職しなければ家族生活を継続できないケースは多い。まさに、私のケースでもある。

この視点で、昔いろいろ調べたこともあるが、判例によって労働法の骨格ができている日本の現状の中で、育児介護休業法26条は「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」としていて、転勤で親の介護ができなくなるためにこの転勤は違法だ、となった判例があると知った。(カネカのケースではこの記事が出ていた)

news.yahoo.co.jp

 

 以前、この判例のことを知って、「介護は理由になるのに、めちゃめちゃ多くの家庭で不利益を被っている『子の養育』の場合は理由にならないっていうのか!!」と腹が立ったことを覚えている。子の養育のために、保育園を新たに見つけることだって相当に不利益な状況である。

だから、育休を取得した人かどうかは関係なく、転勤という不合理で労働者の不利益この上ない制度について、企業は見直すべきである。